本業以外に何か収益が得られる仕事がしたいという方が増えています。
副業の1つの方法として、結婚相談所が注目されていますが、副業でできるのでしょうか。
また、実際にどの程度稼ぐことが可能なのでしょうか。

今回は、「結婚相談所が副業で注目される理由」と「副業の場合の収益モデル」「副業の場合の働き方」について解説します。
1. 結婚相談所が副業で注目される理由
本業か副業かにかかわらず、結婚相談所の開業が注目される理由として、以下が挙げられます。
- 初期投資を抑えられる(他業種に比べて加盟金が安い、事務所の賃貸は不要、その他什器備品等の大きな設備投資も不要)
- 運転資金が比較的少なくて済む(在庫不要、賃料不要等)
- 在庫リスクなし(商品を仕入れる必要なし)
- ロイヤルティ(売上や粗利の数%を本部に支払う)も不要
- 在宅勤務可能、時間の融通も利きやすい。
特に最近では、日本結婚相談所連盟(IBJ)も「副業でも可能」と謳い、副業による加盟を積極的に受け入れています。その結果、実際に副業で開業する人が増えており、私自身も副業で開業した経緯があります。
そこで気になるのは、副業の場合の働き方と、実際にどの程度稼げるかではないでしょうか。次章以降で見ていきます。
2. 副業の場合の収益モデル
日本結婚相談所連盟(IBJ)の「結婚相談所の収益」で紹介されている「結婚相談所ビジネスの収益モデルケース」を前提とした場合、開業初年度の会員数、売上は以下のようになります。
開業初年度における月次別会員数の推移(例1)
月次 | M1 | M2 | M3 | M4 | M5 | M6 | M7 | M8 | M9 | M10 | M11 | M12 |
新規入会 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
成婚退会 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 |
活動会員 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 | 7 | 8 | 8 | 9 |
注2:休会や成婚以外の退会は考慮していない。
オンネアマリッジスクール作成
開業初年度における売上(例1)
項目 | 内訳 | 合計 |
---|---|---|
新規入会 | 12名×10万円 | 120万円 |
活動会員 | 年間延べ66名×1万円 | 66万円 |
お見合い | 66回×5千円 | 33万円 |
成婚 | 3名×20万円 | 60万円 |
計 | 276万円 |
IBJの「収益モデルケース」の前提どおり進めば、開業1年後には会員数9名となり、初年度の売上は約280万円となることが見込まれます。どのぐらい時間、労力を要するかによりますが、副業としては悪くない数字と言えます。
そして、このまま順調に行けば、2年目には約460万円、3年目には500万円を超えることが想定されます。詳しくは、「結婚相談所の開業は儲からない? 年収1,000万円は可能?」をご覧ください。
もちろん、この前提以上に時間、労力を費やすことができれば、それ以上の売上を目指すことも十分可能です。また、副業である程度軌道に乗せることができた段階で、本業に切り替えるというやり方もあります。
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3. 副業の場合の働き方
収益に関しては前述のとおりですが、副業の場合に、実際に結婚相談所の業務ができるかどうかが気になるところだと思います。
(1) 結婚相談所の業務
そもそもですが、結婚相談所の主な業務として、以下があります。
- 紹介営業
- オンラインマーケティング(LINE、SNS、ブログ等)
- オフラインマーケティング(チラシ、イベント開催等)
- 入会面談(含契約書の説明、締結) 等
- ファーストカウンセリング(入会後初回のカウンセリング)
- プロフィール写真撮影(同行)、プロフィール作成、IBJシステムに登録
- お見合いの申し込み・申し受けの取り次ぎ(IBJシステムで1件1件対応する必要があります。)
- お見合いの日程・場所の調整
- 交際サポート(会員とのLINEやメール、電話等での相談対応、面談等。先方相談所とのやりとり)等
これらは、結婚相談所の通常の業務として発生するもので、開業する際には、別途特有の作業が必要となります。
(2) 結婚相談所を開業する際の準備事項
①事業戦略、マーケティング戦略の策定
開業する際に必要な準備作業として、例えば以下があります。
- 事業戦略、マーケティング戦略の策定
- ホームページ作成(含プロフィール写真の撮影)
- プロダクトローンチ(開業に向けた告知活動)
まずは、事業のコンセプトをしっかりと固めて、対象とする顧客層を設定し、その方に向けてどのようなサービスを提供するのか、また、そのための自社の強み、差別化は何なのかということをしっかり考える必要があります。
上記をもう少し細分化すると以下になります。
- マーケティング戦略(「誰に」「何を」「どのように」売るか)の策定
- 顧客理解(婚活者はどのようなサービスを求めているか)
- 競合調査(同業他社のサービス内容、価格戦略、マーケティング方法等)
- 自社の強み、差別化
- ホームページに掲載すべき情報の選定、文章やロゴ・画像の作成(含プロフィール写真の撮影)
マーケティング戦略については、別の機会にあらためて書きたいと思いますが、簡単に言うと、あなたの結婚相談所のコンセプトを固めて、誰に(WHO)何を(WHAT)どのように(HOW)売るのかをしっかり考えるということです。
ちなみに、上記の3つ「顧客理解」「競合調査」「自社の強み、差別化」は、「3C分析」という考え方に基づいたものです。
「3C」とは「Customer(顧客・市場), Competitor(競合), Company(自社)のことを指します。他にも「5C分析」等いろいろありますが、最低限、この3Cについての理解を深めておくことは、今後、事業を行なっていくうえでも重要です。
②ホームページの作成
戦略の策定と同時に、ホームページの作成が必須となります。紹介営業だろうが、SNSだろうが、ブログだろうが、きっかけが何だったとしても、見込み客は、ホームページで詳細情報を確認してから問い合わせをしてくることがほとんどだからです。
ホームページの作成に関して、日本結婚相談所連盟(IBJ)では、あきばれ(株式会社WEBマーケティング総合研究所)と提携しており、加盟特典として、ホームページを無料で作成してもらうことが可能です。ただし、当然ながらコンセプトや中身の文章は、自分で考える必要があります。
あきばれで作成した場合、作成は無料でも、毎月以下の利用料(一般的には6,490円)がかかってきます。
・ 1,100円(SSL対応サービス月額利用料×1)
・ 5,390円(標準ホームページ月額プラン×1)
私も当初あきばれで作りましたが、先日、移行しました。これについては、別途記事を書く予定です。
(3) 本業との兼ね合い
開業前の準備に関しては、基本的に自分の空き時間にできることなので、時間がかかるとしてもできないということはないと思います。
開業後の懸念点としてよく聞くのは以下です。
- 勤務時間中に対応が必要な業務はないか。
- 勤務時間以外の空き時間で対応可能な作業量か。
この①②のいずれに関しても、会員数とやり方次第と言えます。
具体的には、以下3つの観点で解説します。
①会員サポート
②お見合い
③他社(交際相手の結婚相談所)との連絡
①会員サポート
あなたが、平日勤務・土日休みであれば、会員も同様の人が多く、会員との連絡という観点では大きな問題はありません。
どうしても懸念がある場合は、最初から営業時間を平日夜間、土日祝日で明示しておいたり、入会面談の際に、自分がサポートできる時間帯をきちんと伝えたうえで入会してもらったりすれば、特に問題が生じることはありません。
②お見合い
特定の時間に待機している必要があるものとして、自社会員の「お見合い」があります。
「お見合いに遅れそう」「お見合い場所に来たけれども相手が来ない」といった「緊急連絡」に関しては、IBJシステムで会員同士が直接連絡ができることになっていますが、何かあればすぐに対応できるようにしておくことが求められます。
この点についても、平日勤務の方同士であれば、お見合いは、通常、週末または平日夜に組むことになるので、大きな問題はないでしょう。
③他社(交際相手の結婚相談所)とのやりとり
問題があるとすれば、他社とのやりとりです。本業で運営している結婚相談所は、火水休みで、それ以外の日中営業しているところが多いため、平日では、特に月木金の日中に連絡が来る可能性があります。(もちろん、火水以外が定休日の結婚相談所もあります。)
特に週末明けの月曜は、週末のお見合いを受けての対応が多かったり、金曜は土日のお見合いの確認があったりで、連絡が集中する傾向があります。
それ以外にも、交際の進捗状況に応じて、節目節目で電話での連絡があることもあります。逆に、あなたが自社会員の交際サポートのために、お相手の結婚相談所に連絡したくなることも考えられます。
これについての解決策としては、以下があります。
- 会員数を制限することで、業務量(平日日中連絡が必要な量)をコントロールする。
- IBJシステム上、営業時間を本業の時間と被らない時間に設定しておき、他社が連絡しやすいようにしておく。
このように、会員サポートと他社への配慮をしっかりしておけば、勤務日の日中は、お昼休みやトイレ休憩のときにさっとメールを確認する程度で十分対応可能です。
逆に言うと、これでも対応できなくなる頃には、会員が20名を超えてきているので、本業に転換することを考えるタイミングだと言えます。本業が忙しすぎて、毎月残業100時間ですというような方は別ですが、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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