代表のひでさん(小林秀行)です。
自己肯定感が低くて素直に自分を受け入れられないという方や、自分のネガティブな面ばかり気になってしまうという方はどのぐらいいるでしょうか。
「婚活準備ガイド」でも触れたとおり、ポジティブ心理学の研究では、自分の強みを知ることで9.5倍、使うことで18倍幸福度が高まる*と言われています。幸福度が高まると拡張形成が起こり、成功する可能性が高まるハピネスアドバンテージ(幸福優位性)があることも知られています。
今回はその第一歩として「強みを知る」方法について具体的に解説していきます。
1. パラダイムを変える(ギャップ・アプローチからポジティブ・アプローチへ)
「パラダイム」とはものの見方、考え方のことです。自分の強みを知り、それを活かしていくには、根本的にものの見方を変える必要があります。
(1) 日本文化と強み、弱み
日本では「弱いところを見つけて直す」のが良いこととされていて、それが至る所で文化的に刷り込まれています。親から、先生から、友人知人から⋯⋯、小さい頃からあちこちで自分の「弱み」(短所、欠点)を指摘され、自分自身も自分の弱みに注目する習慣が身についてしまっています。
一方で、日本では「謙虚さ」が美徳であり、良いところや良くできたことを積極的に話すのを良しとしない風潮もあります。
この二つが行き過ぎると、自分で自分の「強み」を見ることができなくなり、また、人から言われても受け入れることができなくなってしまいます。さらに悪いことには、人の「弱み」にはすぐに気がつくのに、人の「強み」を見つけることもできなくなってしまいます。
自分のことは自信がなかったり卑下する一方で、人には悪口が多かったり攻撃的だったりする人は、この泥沼にはまってしまっているかもしれません。そういう人は普段から無意識のうちに「ギャップ・アプローチ」の考え方をしてしまっている可能性があります。
「ギャップ・アプローチ」とは心理学の用語ですが、この「ギャップ」とは、あるべき基準に足りない、不足している「差」を意味します。上の例で言えば、まさに「弱み」(短所、欠点)がこの「ギャップ」に当たります。「欠点」に至っては「欠けているところ」という意味なので文字どおり「ギャップ」と言えます。分かりやすく言うと、自分にはない「ないもの」に注目する考え方です。「減点主義」に通じる発想です。
逆の考え方として「ポジティブ・アプローチ」があります。ポジティブ・アプローチでは「ないもの」より「あるもの」に注目します。人や組織の「強み」に注目し、それを活かしていこうという考え方です。「加点主義」に通じる発想です。
(2) ビジネスにおける「ポジティブ・アプローチ」と「ギャップ・アプローチ」
この「ポジティブ・アプローチ」と「ギャップ・アプローチ」は、最近では組織人事コンサルでも使われていて、以下のような違いがあります。
ポジティブ・アプローチ:未来創造型・課題達成型
ギャップ・アプローチ:原因追求型・問題解決型
ギャップ・アプローチは「問題ありき」です。問題の原因を追求し、あるべき姿から不足している点(ギャップ=ないもの)を洗い出して問題を解決しようとします。原因の「追求」を行う過程で、得てして「責任追及」になりがちなのが問題です。いわゆる「犯人探し」です。犯人探しが始まると、組織が険悪な雰囲気になるのはよくご存知かと思います。個人でも組織でも、ギャップ・アプローチ(問題解決型)を取る際は注意が必要です。
それに対してポジティブ・アプローチは「未来創造」型で「課題達成」型です。人や組織の「強み」(あるもの)に注目し、「課題」を達成するために「強み」をどう活かしていけるかを考えます。犯人探しをするようなことはなく、これからどうやってその課題を達成しようか未来志向でモノを考えるので、前向きになりやすいのが特徴です。
(3) 婚活における「ポジティブ・アプローチ」と「ギャップ・アプローチ」
婚活に置き換えると以下のように言えます。
ポジティブ・アプローチ:結婚を「課題」と捉え、その課題を達成するために、自分が持っている強み(あるもの)をどう活かせるかを考えます。
ギャップ・アプローチ:「結婚できていない」ことを「問題」と捉え、その問題を解決しようと原因追求(ときに責任追及)して、何が足りないのか(ないもの)を明確にします。(そして、その「ないもの」で苦しみます。)
仕事では「問題解決型」で進めることが多く、仕事を頑張っている人ほど「ギャップ・アプローチ」の考え方が染み付きがちです。そういう人は、婚活でも「ポジティブ・アプローチ」が苦手で、「ギャップ・アプローチ」で進めようとして「ないもの」で苦しむことになります。そういう人は意識してパラダイムを「ポジティブ・アプローチ」に変えて、「課題達成型」で取り組んだほうが心が楽になります。
同様に、向上心のある人ほど「良くないところは改善したいので指摘してください」と言います。良い心がけですが、行き過ぎると他人の短所も気になるようになり「自分にも他人にも厳しい人」になります。「自分に厳しい人は他人にも厳しく」なりがちで、一歩間違えるとモラハラになってしまいます。
もちろん、ルールやマナー違反はすぐに直す必要があります。また、そのせいで足切りされてしまっているようなこと、例えば口臭がする等清潔感に問題があるような場合は改善する必要があります。そうでなければ、おすすめは「強みを伸ばしたいのでいいところを教えてください」です。
2. 自分の強みを見つける3つの方法
(1) 自分で考える
①自分の強みについて考える
自分の強みについて知る第一歩は、やはり「自分で考える」ことです。就職活動でも「自己分析」が大事だと言われていますが、婚活は就活以上に人生への影響が大きく、自己分析はより重要になります。
ポジティブ・アプローチの自己分析で大事なのは、自分の弱みではなく強みを見つけることです。自分の強みは何かを考えて、思いつくままにまずは10個考えてみましょう。できる人は時間がかかっても100個に挑戦すると自分の良さとかなり向き合うことになりますが、私もそこまではやっていないのは白状しておきます。
さて、強み、弱みと言った場合、能力やスキルのことを指すこともあれば、性格のことを指すこともあります。どちらも含めてで構いませんが、幸福度により影響するのは「性格の強み」です。これについては後述します。
自分の強みについて考える上で、10個ぐらいはすぐに思いつく人もいれば苦戦する人もいると思います。苦戦する場合、主な理由として以下の2つが考えられます。
・自分の強みを見ることに慣れていない(ギャップ・アプローチの傾向が強い)
・「強みの語彙」が少ない
私が初めてポジティブ心理学を知ったのは2017年にフィンランドのポジティブ心理学者であるカイサ・ヴオリネンさんにお会いしたときだったのですが、彼女はフィンランドの小中学校向けに「性格の強みカード」を開発してそれを広める活動をしていました。
話を伺ったなかで印象的だったのは、「人の強みに注目するのが良いと知っていても、そもそも『強みの語彙』を知らないと強みに気づけない。特に子供達はまだ語彙が多くないので、それで『性格の強みカード』を開発した」という話でした。特にヘルシンキ市では、多くの小中学校に導入されていて教室の後ろの掲示板にカードが貼ってあります。(添付写真参照)
現実社会を見ていると子供達だけではなく、大人も「強みの語彙」が少ないことに気づかされます。この「強みの語彙」の学び方についても後述します。
②人の強みについて考える
先ほど「自分の強みは何かを考えて、思いつくままにまずは10個考えてみましょう」とお伝えしました。同様に、家族や友人、知人、同僚等周りの人の強みについても考えてみましょう。そうすることで以下の3つのメリットがあります。
・常に人の強みを見つけようとすることで、意識がポジティブな側面に向かうようになり強みの感度が上がる。ポジティブ・アプローチに早く近づける。
・その人のことが、それまでとは別人のように見えてくる。
・それを実際に相手に伝えると、その人との関係性が良くなる。
特に婚活中の方は、お見合い、デートで多くの方に会うと思うので、このエクササイズに意識して取り組んでみると良いと思います。ただし、絶対に結婚はないと思った場合でも無理やり良いところを探して交際してみるべきという意味ではないので、それはそれとして(交際するかどうかは別の問題として)臨機応変にやってみてください。
(2) 周りの人に聞く
自己評価と他者からの評価は往々にして違うことがあります。あなたが気づいていない良さに他の人が気づいていることも多々あります。
そこで、「私の強みは何か」「私の長所・良いところは何か」について、家族や友人、知人、職場の同僚に聞いてみることをお勧めします。
その際の注意点として、弱みや短所も聞きたくなるかもしれませんが、聞かないほうが良いです。せっかくギャップ・アプローチからポジティブ・アプローチにパラダイムを変えようとしているのに効果が半減します。
そして、ぜひお勧めしたいのが、強みを教えてくれた友人・知人に、お返しでその人の強みを教えてあげることです。これには二つのメリットがあります。
①単純にその人の強みを見つける練習になります。また、そうすることで人のポジティブな側面に注目できるようになります。強みの感度が上がり、ポジティブ・アプローチに早く近づけます。
②やってみると理解していただけると思いますが、その人との関係性が良くなります。人から弱み(短所、欠点)を指摘されるとどうしてもいい気分はしないものですが、強みを教えてもらうとやはりいい気持ちになります。それをお互いにやり合うとお互いに承認された感覚になり、親密度が上がります。私自身、家族友人に対して行ないましたが、本当にやって良かったと思っています。
(3) 強み診断VIAを受ける
3つ目の方法は、客観的な強み診断調査を受けることです。ポジティブ心理学で代表的なものとして「VIA」(ヴィア)があります。
VIAの強み診断調査(通称:VIA調査票)は、1999年にニール・メイヤーソンやマーティン・セリグマン(ポジティブ心理学の創始者)、クリス・ピーターソンらによって設立されたVIA性格研究所が開発したもので、15分程度で受けられる無料の強み診断です。もちろん、日本語で受けることが可能です。
VIAでは、性格の強みを6つのカテゴリー(美徳)に分類しており、それぞれ「知恵、勇気、人間性、正義、節制、超越性」となっています。性格の強みは全部で24個あり、それぞれこの6つのカテゴリーのどれかに分類されています。
上記2(1)①で「強みの語彙」について触れましたが、VIAのこの24の強みを学ぶことで、強みに関する視野を広げ、強みの語彙を増やすことが可能です。一つ一つの強みを知ることで、自分では気づいていなかった強みに気づけるかもしれません。
VIAの24の強みの中で上位5つの性格の強みを「特徴的強み」と言い、自分の性格の強みが最も強く表に出ているものになります。そこで、まず最初にお勧めしているのは、VIAの強み診断調査を受けてこの上位5つの強みを認識し、どう活用するかを考えることです。
強みの診断ツールとしては、クリフトンストレングス・テスト(旧称:ストレングス・ファインダー)も有名です。主な違いとして、VIAの強み診断は「性格の強み」診断でどちらかと言うと「Being(あり方)」であり、クリフトンストレングス・テストは主にビジネスで使われるように「スキル、能力」を含めたもので、どちらかと言うと「Doing(やり方)」であると言うことです。
婚活での活用を考えると、性格の強みに特化しているVIAがお勧めです。性格の強みは、スキルや能力の強みと比べて、幸福度への影響が大きいということもあります。
VIAの性格の強み診断は、以下のサイトにて無料で受診可能です。
VIA性格研究所
https://www.viacharacter.org/
※英語が出てきた場合は、左上の言語の選択欄にて日本語を選択、設定を変更してください。
さて、VIAの強み診断は自分で受けるだけでも発見があり、うまく活用できれば大きな効果が期待できますが、より理解を深めて実践的に活用したいという方のために弊社ではコーチングを行なっています。オンネアマリッジスクールの会員の方には、入会時にVIAを受けていただき、強みのコーチングを行います。コーチングは会員以外の方にも行なっていますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
出典:
「自分の強みを知ることで9.5倍、使うことで18倍幸福度が高まる」研究の原典(英語)
https://nziwr.co.nz/wp-content/uploads/2017/12/Hone-et-al.Flourishing-workers.2015-1.pdf
『「24の性格」診断であなたの人生を取り戻す 強みの育て方』
ライアン・ニーミック、ロバート・マクグラス著
https://www.amazon.co.jp/dp/4866213302
具体的に相談したい方は
オンネアマリッジスクールは、日本結婚相談所連盟(IBJ)に加盟する結婚相談所です。IBJの持つ8万人弱の会員データベースから検索・紹介が可能であり、データマッチング型の強みも持ちつつ、会員一人一人の活動をマリッジコーチがサポートします。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ、お問い合わせください!
今日も幸せな1日を!
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